言語文化教育研究学会:Association for Language and Cultural Education

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2018年度 例会

第59回:1月25日「“うしろめたさ”の日本語教育学」
話題提供:中川康弘さん(中央大学)

  • チラシ 日時: 2019年1月25日(金)18:00~20:00
  • 会場: 早稲田大学 早稲田キャンパス22号館502教室[アクセス
  • 参加方法: 申し込み不要.当日,直接会場にお越しください。
  • お問い合わせ: project@alce.jp(企画委員会)
  • チラシをダウンロード

圧倒的な強さで人々を飲み込む国家/市場システムからの要請を「恩恵」として受け,外国人が使用する日本語を「規定」し「商品化」することで発展してきた分野として日本語教育を捉えてみる。とすると,日本語母語話者として日本語教育に携わる者は,そのシステム維持に適度に加担しながら,教授者,支援者を僭称できる立場にいられることをどう考えればよいか。誤用や逸脱に対する態度,教育の贈与可能性を信じそこで得られる学びを奨励しつつ,言語能力の交換価値をちらつかる態度,そして,そもそもなぜ日本語を教え,また学ばなければならないのかという根本的な問いに,どのような態度で今後も向き合えばよいのだろうか。

発表では,「参加者の複数性が現われる空間」である本会の独自性を念頭に置き,これまで発表者が漠として抱いてきたこれらの疑問を,「うしろめたさ」という観点から自由に議論できればと考えている。

話題提供:中川康弘(中央大学経済学部准教授。博士(教育学)首都大学東京)

第58回:9月29日「自分史の中の授業実践――日本語教育と演劇」
語り手:中山由佳さん(早稲田大学日本語教育研究センター)
聞き手:飛田勘文さん(早稲田大学演劇博物館)

  • チラシ 日時: 2018年9月29日(日)14:00~16:00
  • 会場: 早稲田大学 早稲田キャンパス22号館508教室[アクセス
  • 参加方法: 申し込み不要.当日,直接会場にお越しください。
  • お問い合わせ: project@alce.jp(企画委員会)
  • チラシをダウンロード

なぜ人は「その授業実践」にこだわるのでしょうか。ひとつの授業実践を通して,教育観だけではなく実践者の価値観や生きてきた軌跡が垣間見える時があります。中山由佳さんは2004年以来日本語科目でオリジナルの演劇作品を制作・上演するという実践を行ってきました。本研究会では,インタビュー形式にて演劇および演劇制作授業がどのように実践者自身の歴史と関わっているのかを明らかにしていきます。なお,今回は特に過去14年に渡る上演作品の中から,選りすぐりの作品の動画を上映いたします。

語り手のプロフィール――中山由佳

東京出身。中央大学文学部卒。モナシュ大学日本研究科修了。M.A.

アデレード大学,モナシュ大学で専任講師として日本語教育に携わり,帰国後は早稲田大学日本語教育研究センター客員講師・准教授を経て,現在は早稲田大学,明治大学,東京外国語大学,立教大学,津田塾大学非常勤講師。

早稲田大学では,2002年より日本語科目ビデオドラマ制作・上映授業を担当,2004年からは舞台劇を留学生と制作・上演する授業実践を行っている。演劇は,中学・高校演劇を経て,舞台芸術学院演劇部別科実習科修了。

オーストラリアから帰国後に黒テント俳優基礎学校入学,卒業後は,花房徹氏の主催する「Farm」に参加。そのほか,フリーで小劇場,即興ライブ等に出演。環境問題を扱った朗読劇エコロジーシアターの朗読劇にも複数出演。演劇教育は,2013年,2014年とKenneth TaylorのDrama In Educationのワークショップに参加。

第57回:7月8日 日本語教育討論会
TBLT(Task-Based Language Teaching)と学習者主体の学び
討論者:百濟正和さん(英国カーディフ大学),今井新悟さん(早稲田大学)

※Zoomによるネット配信[meetingID:479101961]があります。

  • チラシ 日時: 2018年7月8日(日)10:00〜12:00(終了後,ランチ懇親会を予定)
  • 会場: 早稲田大学 早稲田キャンパス22号館502教室[アクセス
  • 参加方法: 申し込み不要.当日,直接会場にお越しください。
  • お問い合わせ: project@alce.jp(企画委員会)
  • チラシをダウンロード

TBLTを例に,学習者主体の日本語教育について考える。

まず,百済がTBLTの紹介のプレゼンテーションを行う。TBLTになじみの少ない参加者もターゲットとして,TBLTが考えられた背景,TBLTの言語教育観,具体的な方法について概観する。その中でも特にTBLTにおける「タスク」と日本語教育で一般に言われる「タスク」との違いについて詳述する。

次に,今井が学習者中心あるいは学習者主体の学びという観点から,TBLTにおけるタスクの意味とその扱い方について質疑し,百済が応答する。日本語教育においても,個を尊重する,学習者の,学習者による,学習者のための学びを推進すべきだと考えているので,その観点から切り込みたい。さらにフロアと一緒にディスカッションを進める。その際も学習者主体ということをキーワードにして,その必要性を確認し,それを実現する具体的な手法としてのタスクの在り方を明らかにしていく。

第56回:5月19日
日本語教育においてProject Based Learning(PBL)は可能か――奥多摩日本語学校の挑戦
話題提供者:平澤栄子さん(奥多摩日本語学校)

  • チラシ 日時: 2018年5月19日(土)14:00~16:00
  • 会場: 早稲田大学 早稲田キャンパス22号館502教室[アクセス
  • 参加方法: 申し込み不要.当日,直接会場にお越しください。
  • お問い合わせ: project@alce.jp(企画委員会)
  • チラシをダウンロード

趣旨: 平澤栄子(奥多摩日本語学校)

奥多摩日本語学校は,外国人留学生の日本語教育とITエンジニア養成を目的とする日本語教育機関である。同校は,奥多摩町(東京都西多摩郡)が公募した「旧古里中学校校舎等活用事業」において採択された「OKUTAMAプロジェクト」の一環として,2017年10月に開校した。同校は情報科学技術を専攻し,学士を有するものを入学資格としている。そのため,在籍する学生は,基本的に卒業後,IT企業に就職したり,ITエンジニアとして起業することなどを目指している。

本研究会では,当校での1期目,2期目の取り組みを実践例として,タイトルに掲げた問いを話題提供として提示したい。

まず,当校での取り組みを簡単に説明する。当校では,テキストを使用した従来型日本語教育,いわゆる文型積み上げ式の日本語教育は行わず,プロジェクトベースの授業(Project Based Learning,以下PBL)を採用した。2017年10月〜12月の1期目では,「奥多摩町のためのIT技術を使ったサービスのプロトタイプを考え,プレゼンする」ことを目標とするプロジェクトを実施した。具体的には,奥多摩町住民へのインタビューやアンケート調査,事例研究などを行ったうえで,それらの結果にもとづき,実際に学生たち自らサービスを考え,奥多摩町の住民にプレゼンテーションを行った。

学期の最後に行われたプレゼンテーションは,全て日本語で行われ,日本語教育という文脈においては,一定の効果があったと言える。しかし,本来の目的である「ITエンジニアの育成」という文脈においては,彼らの考えたアイデアは,十分に考え抜かれたものであったとは言い難く,どこか「やらされている」という感覚が否めないものであった。また,学生からは,「もっと文法や言葉を勉強したい」という声も上がった。さらに,経営陣からは,「日本語教師にPBLは無理ではないか」という指摘もあった。そこで,カリキュラムについてもう一度検討し,2期目(2018年1月〜3月)の実践を行った。

本研究会では,この2期目の実践例をもとに,日本語教育においてPBLは可能か,また,可能でないとしたら,何が問題なのかを改めて考えてみたい。

第55回:4月21日
第4回研究集会「クリティカルとは何か」上映会 in 東京

  • チラシ日時: 2018年4月21日(土)14:00~16:00
  • 会場: 早稲田大学 早稲田キャンパス22号館 502教室[アクセス
  • 参加方法: 申し込み不要.当日,直接会場にお越しください。
  • お問い合わせ: project@alce.jp(企画委員会)
  • チラシをダウンロード

趣旨

今回の例会では,2017年12月10日に熊本で行われた本学会の第4回研究集会「クリティカルとは何か」の映像をまとめたものを上映し,併せてディスカッションを行います。

まず,哲学・教育学者の苫野一徳氏(熊本大学教育学部)を交えて行ったディスカッションの様子を1時間程度にまとめたビデオを上映します。その後,参加者同士でディスカッションをする時間を設け,言語教育における「クリティカル」について考えます。

ビデオは,苫野氏による本質的思考および本質観取についての話題提供と,苫野氏と研究集会参加者によるディスカッションの様子で構成されています。ディスカッションでは,本質的思考における他者とのやり取りや外国語を使うことの意味,本質観取をすることの目的などについて議論が行われました。なお,ディスカッションは,苫野氏の著書『はじめての哲学的思考』(ちくまプリマー新書)にもとづいて行われました。そのため,同書をお読みのうえで,参加されることをおすすめします。