テーマ趣旨:
ディスアビリティ・インクルージョンと言語文化教育
日本社会における多文化共生が語られるとき,その焦点はグローバル化に伴って外からやってくる文化に当てられ,従来から国内に存在する文化は見過ごされてきました。そして,日本の言語政策では,日本手話といった国内少数言語を学習する機会が,言語的マジョリティはさることながら言語的マイノリティに対してもほとんど保障されておらず,言語的ディスアビリティは社会的に作られている側面があると言えます。特に聴覚障害者については,独自の言語や文化を持ちながら言語文化教育から取り残されており,当事者による問題提起によってようやく取り上げられるようになったというのが現状です。
そこで,第8回大会では,聴覚障害者の社会活動や社会参加を妨げてきたイデオロギーや言語政策などを取り上げ,本来あるべき多文化共生の実現に向けて,ディスアビリティとは何か,また,ディスアビリティ・インクルージョンのために言語文化教育に何ができるのか議論することを目指します。
(企画委員:杉本篤史,古屋憲章,宮本敬太,中井好男)
プログラムより
1日目:3月5日(土)
大会シンポジウム『流暢な音声日本語話者像を超えて』(13:00~16:00予定)
- シンポジスト: 松﨑丈(宮城教育大学),岡典栄(明晴学園),中井好男(大阪大学)
- 司会: 古屋憲章(山梨学院大学)
- 松﨑 丈(https://note.com/matsuzakijo)
- ろう者。宮城教育大学特別支援教育講座准教授,しょうがい学生支援室副室長。教育心理学,特別支援教育。全国各地の学校や家庭を回ってろう・難聴・ろう重複障害の子どもたちの教育支援に関する心理学的実践研究を行っている。主な著作に『一歩進んだ聴覚障害学生支援』(生活書院,共著),『特別支援教育への招待』(教育出版, 共著)などがある。
- 岡 典栄
- 明晴学園理事,中学部英語科教諭。手話通訳士。社会言語学,手話言語学。ろう児に対する第2言語としての日本語教育と第3言語としての英語教育の実践と研究を行っている。主な著作に『〈文法が基礎からわかる〉日本手話のしくみ』(大修館書店,共著),『手話通訳者になろう』(白水社,共著),『ろう者と難聴者のための目で学ぶ英語レッスン』(大修館書店,共著)などがある。
- 中井 好男(https://livinginjapan.me/)
- コーダ(CODA: Children of Deaf Adults)。大阪大学国際共創大学院学位プログラム推進機構。応用言語学。日本語を第二言語とする人々の日本語教育の実践と質的研究を行なっている。マイノリティのアイデンティティや行為主体性,マジョリティの特権性など,自身の経験も含めた当事者研究にも取り組んでいる。『質的言語教育研究を考えようーリフレクシブに他者と自己を理解するために』(ひつじ書房,共著)などの著書がある。
招待講演『宮窪手話を通して異文化共生を考える――宮窪の聴者3人の語りを通して』(10:40~12:10)
- 講師: 矢野 羽衣子
- 関西学院大学手話言語研究センター客員研究員。不就学ろう者や離島で生活するろう者の手話表現コーパスについて研究中。愛媛県大島出身で,地元で使われている宮窪手話を通して様々な手話言語に興味を持ち,宮窪手話をはじめとする共有手話などの研究も行っている。第158回日本言語学会発表賞受賞。国立大学法人筑波技術大学大学院技術科学研究科 情報アクセシビリティ専攻修士課程修了。
無言語コミュニケーションワークショップ(9:00〜10:30:40分×2回開催)
- 尾中 友哉
- NPO法人 Silent Voice代表理事。1989年生まれ,滋賀県大津市出身。
- ろう者の両親を持つ耳の聞こえる子どもとして,手話を母語に育つ。聞こえる人と聞こえない人のより良い共存を目指して,ろう者/難聴者の活躍しやすい仕事や職場を増やす活動,ろう児/難聴児の教育の選択肢を広げる活動に取り組む。
- 岡松 有香
- NPO法人 Silent Voice
- 髙橋 緑
- NPO法人 Silent Voice
ワークショップ「日本手話やろう文化についての体験講座」(16:10〜17:10)
- 前川 和美(Kazumi Maegawa)
- 関西学院大学手話言語研究センター研究特別任期制助教。同大学非常勤講師。兵庫教育大学大学院学校教育研究科修士課程修了。ろう児をもつ親への手話指導に関しての研究を行っている。また,NHK Eテレ「みんなの手話」テキスト執筆および番組の監修を務める。NPO法人手話教師センター理事。
- 下谷 奈津子(Natsuko Shimotani)
- 関西学院大学手話言語研究センター研究特別任期制助教。同大学非常勤講師。香港中文大学大学院言語学科修士課程修了。成人聴者の日本手話習得プロセス,とりわけ日本手話のプロソディ習得について研究中。また,日本手話初学者を対象としたNHK Eテレ「みんなの手話」テキスト執筆および番組監修を務める。手話通訳士。
フォーラム
2日目:3月6日(日)
委員企画フォーラム(16:20~17:50)
『言語文化教育は,ろうコミュニティの「ALLY」になれるのか――日本語教育とやさしい日本語の視点から』
- 鼎談者: 吉開章(電通ダイバーシティ・ラボ),中島武史(大阪府立だいせん聴覚高等支援学校,関西学院大学手話言語研究センター),中井好男(大阪大学)
- モデレーター: 古屋憲章(山梨学院大学)
発表
- 口頭発表
- ポスター発表
- パネルディスカッション
参加申し込み
参加申し込みは締め切らせていただきました。参加申し込みをいただいた方には,参加費振込確認後,2月末頃にZoomのURLを送付します。
- 「無言語コミュニケーション体験」について
- 参加申し込みは締め切らせていただきました。参加申し込みをいただいた方には,参加費振込確認後,2月末頃にZoomのURLを送付します。
- 手話通訳をご希望される方
- 申し込みは締め切らせていただきました。お申し込みいただいた方には別途,手話通訳に関するお問い合わせをご登録いただいたメールにお送りいたします。
オンライン開催にあたっての注意事項
発表者ならびに参加者の皆様には,以下の注意事項をご確認いただきますよう,よろしくお願いいたします。
- オンライン発表中に発生したトラブルにつきましては,当学会はその責任を負いません。また,原則として参加費の返金には応じかねます。
- オンライン発表に必要な機器や通信等の費用は,発表者の自己負担でお願いいたします。
- 当日はZoomを使用しますので,当日にバージョンの確認をして,最新版をインストールしてください。 参照サイト:https://zoom.us/jp-jp/meetings.html
- オンライン発表時の発表者側および参加者側のコンピュータやZoomの操作,インターネット接続等の問題については,学会からのサポートや対応はありません。
- Zoomのミーティングに参加するためのURLおよびパスワードは参加登録後にお知らせします。URLおよびパスワードの情報は絶対に他の人に教えないでください。
- 当日は申し込み時にご登録いただいたものと同一の氏名を表示の上でご参加ください。
- 受信映像の録画,録音,画面キャプチャを禁止します。発表内容に関しては,HPより予稿集を各自ダウンロードしていただき,そちらでのご確認をお願い致します。
- 円滑な進行の妨げとなる行為が見られた場合,主催者によってミュート操作が行われたり,接続が切断されたりする可能性があります。
- プログラムは,インターネット接続の問題等により予告なく変更する場合があります。
- オンライン発表に必要な機器や通信などの費用は,発表者の自己負担でお願いいたします。