趣旨と概要
ALCEでは、ことばと文化の教育とは何か、ことばと文化の教育を研究するとはどういうことかを議論する場を提供しています。大量のテキストデータを機械に読み込ませ、その中から人間の言語がもっているパターンを見つけてことばを紡いでいる生成AIが我々の生活の中に浸透してきたことで、我々教育関係者にも、大きな影響が生まれています。そこで、ことば・文化・教育・社会にかかわる「わたしたちの教育」は、AIをどう利用し、向き合っていくのでしょうか。
プレ企画(8月25日開催)では、茨城大学の笹井一人さんに、AIと人間の異なり、AIと教育の関わりについて話題提供をしていただきました。そして、AI推奨、AI受け入れ、AIに危機感を覚えるなど、「わたしたちの教育」にAIが+になりえたり、-になりえたりする場面を考え、AIと多様な向き合い方があることを、参加者の関わっている教育の実例を共有しながら議論しました。この議論を通して改めて浮かび上がってきた「人間にしかできない教育とは何なのか」、「私たち人間は教育とどのように向き合っていくのか」、「わたしたちの教育」とAI(とその特性)はどのように関わっていくのか」などの問いを、AIを使うことの是非にとどまらず、そもそもの「わたしたちの教育」とAIのかかわりを問うてみることが重要だと考えました。
そこで2024年度の研究集会では、プレ企画をさらに進め「言語文化教育」とAIのかかわりを問うために、“しかけ”として、
- 話題提供に基づくパネルディスカッション
- 「わたしたちの教育」とAIのかかわりを通した参加者同士の交流
- 口頭発表
を柱とする場をつくります。
企画の詳細については、順次学会Webサイト、facebook等でアナウンスしていきます。
話題提供者
現在2名を予定しています。
- 笹井 一人さん
- 茨城大学 教授
- 2002年神戸大学理学部地球惑星科学科卒。2008年神戸大学大学院自然科学研究科博士後期課程(地球惑星システム科学専攻)修了。
- 博士(理学)。2008年より東北大学電気通信研究所ポスドク研究員を経て、2009年より同大学助教。2018年より茨城大学工学部情報工学科准教授、2024年より同教授となり現在に至る。自己言及とフレーム問題、それをのりこえて生きるシステムおよび知能の原理その応用についての研究に従事。
- 大久保 紀一朗さん
- 京都教育大学教職キャリア高度化センター 講師
- 1982年島根県生まれ。東京学芸大学大学院および東北大学大学院修了。博士(情報科学)。東京都公立小学校,島根県公立小学校,島根大学教職大学院を経て,現職。専門は教育工学,メディア教育。メディア理解やメディア活用の授業実践に関する研究に取り組む。
- 著書に『これでできる!個別最適な学びと協働的な学び(シリーズ「GIGAスクールはじめて日記」4)』堀田龍也ほか編著,さくら社刊,2024。