【3月11日】こどもの視点 ― 「無分別」に語る多文化共生のいまむかしそしてこれから
講師:善元幸夫さん(日韓合同授業研究会・目白大学非常勤講師)
- 司会:中山由佳(企画委員)
- 聞き手:古屋憲章(企画委員)
「多文化共生」というワードが行政,メディアで頻繁に登場し,社会の進むべき方向として掲げられています。しかし本当に私たちの社会は「多文化共生」に向かってすすんでいるのでしょうか。
本企画では,学校教育の現場で長く子どもの人権擁護や多文化共生に尽力されてきた善元幸夫さんにこの「多文化共生」というワードに多面的にアプローチしていただきます。具体的には,善元さんが「多文化共生」に関心をもつようになったきっかけをうかがったうえで,長年取り組んできた実践とそれらの実践を通して出会った外国につながる子どもたちの視点から自分自身や身の回りのこと,社会をどのようにとらえていたかを語っていただきます。さらに,現代社会で広く使われている「多文化共生」の現状に関してもご意見をうかがいます。
善元さんとの対話を通して,「多文化共生」をめぐる諸問題は何かをオーディエンスと共に考えていきたいと思っています。
なお,タイトルに掲げた「無分別」とは大乗仏教のことばで「通常の主客対立にとらわれた見方(分別)を超えた智慧」(『日本大百科全書』での袴谷憲昭による「無分別智」の解説:コトバンクより)を意味します。既存の認識を脱構築し,問題の所在を発見したいという思いからタイトルとしました。
善元幸夫さんの略歴
1950年埼玉県生まれ。東京学芸大学卒業後の1973年、江戸川区立葛西小学校(日本語学級)に赴任し、中国・韓国の残留孤児2世の日本語教育を14年間担当する。当時より総合学習に取り組んでいた。「地域化をめざすアジアの国際理解教育」の必要性を感じ、1995年「日韓合同授業研究会」を立ち上げ、日本・韓国・中国の国際交流研究会を開催し、ベトナムの他言語教育にもかかわる。荒川区立第四峡田小学校を経て、2003年新宿区立大久保小学校日本語国際学級に赴任、ニューカマーの子どもたちの教育を担当する。琉球大学兼任講師を経て、現在目白大学、東京学芸大学の非常勤講師、南米教師のための日本語教師(JICA横浜)等担当している。