【6月28日:新大久保周辺】
多文化の街・大久保ツアー:歴史的変遷と言語景観をたどる旅 第2弾
講師:善元幸夫さん(日韓合同授業研究会代表 NPO法人チャプチョ理事)
本企画は、2023年11月11日に実施し、好評を得た特別企画の第二弾である。
2020年の国勢調査の統計によると、大久保地域における外国人の割合は、約16.1%である(新宿区新宿自治創造研究所,2023)。現在もコリアン料理、化粧品や芸能関係の店が多く軒を連ねるが、他にも中国、ネパール、ムスリム系など、多様な地域の店が混在しており、韓国通り、イスラム通り、中国通り、アジアの通りなど棲み分けが進んでいる(善元,2022)。
1980年代から大久保はニューカマーの外国人が急増し、1990年代にはエスニック飲食店が多く軒を並べるようになってきた(申 ,2019;箕曲・鈴木,2018)。2000年ごろからは韓国系の店舗が急増し、大久保は観光地化していく(申,2019)。2010年代、日韓関係の悪化により韓国系飲食店が撤退する中、大久保の街にはベトナム系やネパール系の国籍の人々が増加してきた(箕曲・鈴木,2018)かたや、2000年代からはイスラム横丁と言われる一角も現れた。
このように多様な出身地や言語、生活習慣などを共有する人々のコミュニティが共存する大久保という空間はどのような歴史的変遷を遂げ、現在どのような空間であるのだろうか。本企画では、「歴史」と「言語景観」という2つのアプローチから街を体感・体験するということを行う。「歴史」という観点では、街歩きの案内人・講師として、2007年より大久保の町に関わってこられた元大久保小学校教諭の善元幸夫氏を招聘し、街の変遷、現在の街の様子についてお話しいただく。また、「言語景観」という観点では、参加者の方に町を歩きながら、言語景観で気付きのあったものを写真に撮ったり、音声を録音するなどをしていただき、ツアー終了後、撮影、録音したものをpadletに投稿して共有し、個々で振り返りを行う。
なお、ツアーの訪問地は、多文化共生の視点で、新大久保の宗教施設を見る。具体的にはイスラム、台湾、韓国、日本などの神社、教会、仏閣など、新大久保の宗教施設を見る。大久保小学校、コリアタウン(韓国系)、皆中稲荷神社、イスラム通り(西アジア、ミャンマー、ネパール、バングラデシュなど)、国際通り(タイ、ベトナム、中国、台湾)である。
参考文献
- 箕曲在弘,鈴木琢磨(2018).新大久保地区における在留外国人住民の多国籍化―都市部の多文化共生を考える前に『東洋大学社会学部紀要』53,2,49-65.
- 申恵媛(2019).「開かれた」地域社会の重層性―エスニックな観光地化する「新大久保」の事例から『アメリカ太平洋研究』19,37-48.
- 新宿区新宿自治創造研究所(2023).『2020(令和2年)国勢調査小地域集計結果―新宿区の概要』.https://www.city.shinjuku.lg.jp/content/000358133.pdf
- 善元幸夫(2022).反差別・命・人権―多文化共生はどこまで可能か『最終部落解放』87.