言語文化教育研究学会:Association for Language and Cultural Education

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日本語教育とは何か――熟練教師の語る教育哲学

日本語教育においては,1983年に公示された「留学生受入れ10万人計画」を受けて,国内大学に教師養成課程が設置され,本格的に専門家の養成が始まった。この時期に教師養成に携わるようになり,日本語教育の礎を築き業界を牽引してきた世代は教育現場から退く年齢に達しつつあり,その経験が十分に伝承されないままになっている。日本語教育の創成期を支えた教師の語りは,現場教師にとって新たな教育観・実践観を誘発する契機となりうるものであり,記録と保存が急務となっている。

そこでこれまで,その世代の熟練教師の語りを映像化し,参照可能な資料として記録してきた。特に,熟練教師それぞれのキャリアにおいてターニングポイントとなる出来事やエピソードについて語られている部分を中心に,教師自身のキャリアの変遷と個人の価値観がよくわかる映像作品となることを目指した。

すでに現場教師を参加者として,それら映像の視聴会を開催してきたが,複数の熟練教師の語りを視聴することで,互いの価値基準に向き合う新たな「語りの生成」への道筋が見えてくるなどの成果を得ている。さらにここに,そのうちいくつかの映像を公開することによって,教育観や実践観をより広く議論し,問い直す場としての「同僚性コミュニティ」構築のきっかけとしたい。

牛窪隆太(研究代表者),三代純平,金考卿

Vol. 1 西口光一先生

2017年7月3日撮影

Vol. 2 細川英雄先生

2017年9月16日撮影

Vol. 4 春原憲一郎先生

2018年6月12日撮影

関連文献

  • 牛窪隆太(研究代表者),三代純平,金考卿(2019).『映像記録を用いた日本語教師の語りの保存に関する基礎研究』科研費(16K13249)報告書.
  • 牛窪隆太,三代純平,金考卿(2019).語りの視聴から何が生まれるか―教師の語りの映像アーカイブズ化の試み『言語文化教育研究学会第5回年次大会予稿集』(pp. 41-43).https://alce.jp/annual/2018/proc.pdf
  • 牛窪隆太,金考卿,三代純平(2018年7月1日).ベテラン日本語教師のナラティブの映像化とその教員研修への応用の試み『批判的言語教育国際シンポジウム:未来を創ることばの教育をめざして―内容重視の批判的言語教育(Critical Content-Based Instruction: CCBI)のその後』(口頭発表)武蔵野大学.
  • 牛窪隆太(2018).熟練教師の語りを学びの資源とする日本語教師研修の提案『言語文化教育研究学会第4回年次大会予稿集』(pp. 173-174).https://alce.jp/annual/2017/proc.pdf
  • 三代純平,首藤なずな,福村真紀子(2016年12月17日).社会とつながる日本語教育を「見える化」するために―あいあい×ムサビプロジェクトのドキュメンタリー映像から『言語文化教育研究学会第48回月例会』早稲田大学.https://alce.jp/monthly/2016/#n48

※当研究は,科研費(16K13249)の成果によるものです。