言語文化教育研究:Studies of Language and Cultural Education

学会誌『言語文化教育研究』編集方針

ラディカルにことばと文化の教育を問い直す。『言語文化教育研究』はそのための議論を求める者たちのプラットフォームでありたい。日々の実践の中にある断片的な発見,感動,或いは違和感を持ちより,その意味を語り合うことで,新たな言語文化教育の可能性を拓いて行く。それを実現するための開かれた言説空間を築きたいと私たちは考える。

『言語文化教育研究』は,2004年に,早稲田大学日本語教育研究科言語文化教育研究室の刊行する論文誌として創刊した。その後,2008年に,より広く論考を募るとともに開かれた議論を行うべく,雑誌の母体を早稲田大学日本語教育研究センター・言語文化教育研究会とし,編集委員会を組織,査読体制を整備してきた。創刊から10年を経て,『言語文化教育研究』は,開かれた言説空間としての機能を拡充すべく,早稲田大学日本語教育センターから独立した言語文化教育研究会の研究会誌として装いを新たにし,さらに2014年には言語文化教育研究学会の学会誌となった。

編集方針は以下の3点である。

  • 従来の言語教育研究が扱ってこなかったテーマや対象を積極的に取り上げる。
  • 言語文化教育の可能性を探求すべく,充分な紙幅を設け,多様な表現形式を認める。
  • 開かれた議論を目指し,実践研究,理論研究,批評,政策提言などを積極的に取り上げるとともに掲載された論文等に関するWEB上での対話を可能にする。

21世紀に入り,ことばと文化の教育はますます多様化し,複雑化している。従来の研究では明らかにできない実態,または従来の実践では対応できない現実に,数多く直面している。この言語教育の研究と実践の困難を乗り越えるべく,私たちは,萌芽的研究や新しい理論の提言などを積極的に掲載し,議論していきたい。また,困難な現実を変えていくためには,研究と実践とを統合した新たな実践研究が求められる。実践を研究するのではなく,研究自体が言語教育実践となりながら,言語教育をよりよいものにしていく。本誌はそのような実践=研究という「実践研究」を広く取り上げる。新しい「実践研究」は,まだその表現形式さえも定まっていない。そこで,本誌では,充分な紙幅を設け,多様な表現形式で,実践を記述した論考を多く募りたい。さらに,研究という言説空間に今まで届いてこなかった多くの「声」の中に,私たちに「実践研究」を発展させる鍵があると考えられる。そのような「声」を広く共有するために,「論文」とは別に「フォーラム」という形でより多様な原稿を募る。ここでは,現場で抱える悩みや小さな発見を率直に語ってほしい。また当事者の日記のような形で,現実の「声」を届けることが出来ればと考えている。論文に加え,これらの「声」は,ホームページ上で共有され,そして議論することができる。対話的な言説空間をめざし,各原稿についてコメントする機能を新たに加えることにした。

以上の編集方針により,ことばと文化の教育の現状と葛藤し,それでも希望を持っている多くの人々の声を募りたい。そして,本誌が,実践=研究という「実践研究」の場として,言語文化教育に携わる者達の協議と協働,そして,発信と連帯を実現する場となることを希求する。

『言語文化教育研究』編集委員会

  • 牛窪隆太(関西学院大学)
  • 佐藤慎司(プリンストン大学)
  • 佐藤貴仁(亜細亜大学)
  • 田中祐輔(東洋大学)
  • 田中里奈(フェリス女学院大学)
  • 寅丸真澄(東京外国語大学)
  • 広瀬和佳子(神田外語大学)
  • 古屋憲章(早稲田大学)
  • 三代純平(武蔵野美術大学)……編集委員長
  • 栁田直美(一橋大学)