言語文化教育研究学会:Association for Language and Cultural Education

2016年度特別企画

言語教育を生態学的に考える

話題提供者: 宇都宮裕章さん(静岡大学),齋藤智美さん(早稲田大学)

生命体をめぐる生態学においては,有機体の多様性,生態系の均衡性,環境全体の持続可能性の大切さに基盤を置き,それらの実証が進められています。学習環境もまた一つの環境のあり方であると捉えれば,言語教育においては,学習者の多様性,学習機会・評価の均衡性,学びの場の持続可能性の大切さに基盤を置きつつ,教育実践を行うことが重要になります。より具体的には,次のような場を創ることを念頭に,教育実践をデザインするということになるでしょう。

  • 複雑かつ多様な言語・文化・価値観を理解・受容する。
  • 学習のプロセスを評価する。
  • 構築⇔解体,向上⇔停滞,成功⇔失敗などの往還を繰り返す。

本特別企画では,まず,齋藤さんが,自身が日本語教育実践を行う中でどのような違和感を覚えたか,その違和感に基づき,どのような実践を行ったかを語ります。次に,齋藤さんと宇都宮さんが,齋藤さんが行った実践を題材に,生態学的な観点で捉えることにより,言語教育実践がどのように変わっていくか等に関し,語り合います。それらの語りを踏まえ,参加者全員で言語教育を生態学的な観点で捉えることの可能性を議論します。

話題提供者紹介
宇都宮 裕章(うつのみや ひろあき)
学生の時から学校現場での日本語教育にかかわってきた縁で,言語教育の問題に取り組み始める。共立女子大学,横浜国立大学を経て,現在は静岡大学学術院教育学領域に所属。2003年にブリティッシュコロンビア大学へ研修留学した際,教育言語学の捉え方に感銘を受け,以降学校教員との協働で理論と実践をつなぐ研究を行っている。主著は『教育言語学論考』『生態学が教育を変える(訳)』『新ことば教育論』など。
齋藤 智美(さいとう さとみ)
―プライベートレッスンという形態で日本語教育に関わり始めた。その経験から「個人がそれぞれの環境でどう学習しているのか,環境をどう捉えているのか」ということから研究を始める。場BaとSprachspiel,脱学習,意味づけ論などの視点から,ことばの学習環境を考え続けている。現在,早稲田大学日本語教育研究センター所属。
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参考資料