言語文化教育研究学会:Association for Language and Cultural Education

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2014年度 月例会

第30回(特別企画):ワークショップ
デザインシンキングの発想――教育イノベーションの発見と可能性

講師:相野谷威雄氏(ヴィー・ディー・エス株式会社代表取締役)

  • チラシ日時: 2015年2月27日(金)17:00~20:00
  • 会場: 早稲田大学22号館715教室
  • 申込締切: 2015年2月13日(金)参加方法 >
  • 参加費: 会員 1,000円,非会員 2,000円(入会案内
  • 定員: 20名(先着順:定員に達し次第,締切りとさせていただきます)
  • チラシをダウンロード

企画意図

企画者:三代純平(武蔵野美術大学)

現在,経営,教育などさまざまな領域においてデザインシンキングへの関心が高まっています。デザイナーの発想プロセスには,まったく新しい価値観を生み出すためのヒントがあると言われています。激変する教育環境に対応し,新しい教育のあり方を考えるためのヒントもここにあるのではないかと思い,ワークショップを企画しました。教育機関で新しい実践を考えたい,新しい研究のアイデアがほしい,またデザインシンキングを新しい社会に対応する重要なコミュニケーションの力の一つと考え,自身のクラスに取り入れていきたい,そんな人たちにぜひ参加していただきたいと思います。

概要

講師:相野谷威雄

デザインシンキングとは,デザイナーの感覚,直感,インスピレーションなど組み合わせた暗黙知的な思考を,観察,統合,試作などのプロセスとして体系化した創造的な発想手法です。本ワークショップは,デザインシンキングを応用して,さまざまな発想法や認知を考慮しながら新しい教育への「気づき」を発見し「カタチ」にしていくプログラムです。まず,デザインシンキングとは何かを共有した上で,デザイナーの発想プロセスを体験していただき,仮説と統合を繰り返すプロトタイプによって新しい何が生みだし,教育イノベーションの可能性を考え探ります。

相野谷威雄氏プロフィール

ヴィー・ディー・エス株式会社代表取締役。武蔵野美術大学大学院造形研究科修士課程修了。武蔵野美術大学,首都大学東京にてデザインに関する教育に従事し,ものづくりマネジメントに関するコンサルティングをおこなう。現在,電気通信大学と共同で製品開発,住宅メーカーでの新規事業,中小企業での事業構想,商品開発支援,プロダクトデザインなどが進行中。日本デザイン学会員,日本VR学会員,日本感性工学会員,日本芸術工学会員,JIDA会員,東京都環境公社主催環境学習講座講師,上智大学教育イノベーションプログラム2014講師ほか

参加方法

どなたでもご参加になれます。

  1. 2月13日(金)までに,monthly@alce.jp(言語文化教育研究学会・月例会委員会)まで
    • お名前
    • 会員か非会員(よろしければ御所属)か
    をご連絡下さい。
  2. 下記の口座に参加費(会員 1,000円,非会員 2,000円)の納入をお願いします(※送金にかかわる手数料はご負担ください:ゆうちょ銀行口座ATMからの「電信振替」は手数料無料です:2014年11月現在)。
    【ゆうちょ銀行で,入金手続きする場合】
    記号:00110-9
    番号:450275
    名義:言語文化教育研究学会
    【ゆうちょ銀行以外の金融機関で,入金手続きする場合】
    銀行名:ゆうちょ銀行(金融機関コード:9900)
    支店名:〇一九店(ゼロイチキユウ店,店番:019)
    口座種類:当座
    口座番号:0450275
    口座名義:言語文化教育研究学会
    入金確認のご連絡をもって,受付完了といたします。

第29回:韓国の大学で日本語会話の授業を担当するということ――「日本語の自分」を成長=変化させる場という設定をめぐって

話題提供:井上雄介(東国大学日語日文学科)

  • 日時: 2015年1月23日(金)17:30~19:40
  • 場所: 早稲田大学 早稲田キャンパス22号館715教室[アクセス

韓国の地方私立大学で「日本語会話」などの講義を担当している発表者が授業の実践報告を行います。日本語の授業とは何か,もう一度考えるきっかけとなること,そのような話題を提供することが本発表の目的です。

「日本語会話」という授業の担当者である私にとって,理想の授業とは何か。同僚教師や学生の話,あるいは大学運営の要求を聞きながら,私が出したとりあえずの結論は,学生が「日本語の自分」を成長=変化させる場として,自らの担当授業を設定することでした。

自己紹介のクイズと質疑応答,自分のイメージについて他学生や友人に聞いてみる,などの授業を行った後で,「この授業で自分のどんな部分が変化したか?」と受講生に尋ねた結果,自分を見つめ直すきっかけになった,などの回答を得ました。しかし,このような授業では,良い成績を取るために他学生に関心を持って発話しなければならない状況が生まれているとも考えられます。大学の授業で他の受講生に関心を持つよう強制されて,半ば無理やりにコミュニケーションすることが,果たして「日本語の自分」を成長=変化させることに繋がるのでしょうか。そして,そもそも「日本語の自分」の成長という概念は,学生の幸せに寄与することなのでしょうか。

第28回(12月26日)
人が人として生きること――コミュニティのあり方を通して考えたことば,人権,市民性

  • 日時: 2014年12月26日(金)17:30~19:40
  • 場所: 早稲田大学22号館715教室[アクセス
  • 参加方法

発題1 人はどのようにして市民となるのか――地域日本語活動の挑戦

福村真紀子(早稲田大学大学院日本語教育研究科)

  • 「市民性」とは何か
  • 私の実践が目指す「市民性形成」とは何か
  • なぜ,ことばの教育において「市民性形成」を考えなければならないのか

この3つが本発表の問いです。これらの問いを探ることから,人はどのように市民となるのかを考えます。

本発表では,私自身の実践と「市民性形成」との関係について考えようと思います。実践フィールドは,地域における親子参加型の日本語サークルです。ある一人の参加者が,周辺的な参加からやがて場の中心になっていく過程を縦断的に観察しました。その参加者の変容について分析し,私の活動デザインの変容と合わせて考察を行いました。結果,「市民性」・「市民性形成」とは何かが,緩やかに浮かびあがってきました。参加者がその人なりの表現方法で自己表現し,他者とやりとりをしながら関係をつくっていくこと。多様な他者とのふれ合いやせめぎ合いを回避せずに偏見をなくしてコミュニティをつくっていくこと。これらのことが,深く関係していると思われます。

発表の最後には,月例会の参加者のみなさんと,ことばの教育において「市民性」を考える意義についてディスカッションしたいと思います。

発題2 台湾の高齢者コミュニティにおける日本語の意味――かつての「日本人」が集う場から考えたことばと人権

佐藤貴仁(早稲田大学日本語教育研究センター)

本発表は,台湾の高齢者デイケアセンター玉蘭荘の日本人スタッフ2名に対するインタビューを元に,そこに集う人々(以下,会員)にとっての日本語の意味と,施設が果たしている役割について,2つのポイントから考察することを目的とします。

玉蘭荘は,日本語で活動が行われているという特質から,現在は会員の約9割が,日本統治時代に「日本人」であった台湾人で構成されています。そして,長きに渡り会員を支えてきたスタッフは,彼らに日本語で接することを重視しています。それは,「単に言葉が通じるから」ということや「昔を懐かしんでもらうために」といった理由ではありません。なぜ重視しているのかというと,日本語で接することが,彼らにとっての「心のケア」に繋がっていることを,活動を通して体得的に理解したからです。では,どうして「心のケア」が必要なのでしょうか。また,なぜ日本語で接することが「心のケア」となるのでしょうか。会員と接する中で,スタッフの意識が変化していった過程を辿り,その変容から,玉蘭荘での日本語による「ケア」の在り方ならびに,会員にとっての日本語の意味について考えることを,本発表の一つ目のポイントとします。

二つ目のポイントは,日本語による「ケア」の意味から,玉蘭荘が果たしている役割を考えることです。日本語で会員に接することが「心のケア」に繋がると述べましたが,即ちこれは,玉蘭荘が単なる高齢者デイケアセンターではないことを意味します。戦後,日常的に使用していた言語を奪われ,その事実がなかったことにされてきた彼らを,日本語で受け入れる場所こそが玉蘭荘であるとするならば,戦後の社会において,その存在を抹殺されてきた彼らを人として認め,受け入れる場所だと換言することもできるでしょう。裏を返せば,ことばもその人の一部であり,そのことばを否定することは,人権を侵害することにも繋がると,捉えることができるのではないでしょうか。本発表ではさらに一歩進んで,ことばは人権の一種であるとする「言語権」という概念を元に,玉蘭荘の存在意義について考察を深めるとともに,月例会参加者の皆さんと「ことばと人権」について考えたいと思います。

第27回

  • 日時: 2014年11月28日(金)17:30~19:40
  • 場所: 早稲田大学22号館715教室[アクセス
  • 発題者: 高橋聡さん
  • タイトル: 「共生」を再考する(A reconsideration“coexistence”):地域にほんごボランティアのための講習会の報告から

要旨

90年代に「共生」ということばが日本語教育で聞かれるようになって随分と経ちます。2000年代に入ると,少子高齢化が数字的に現実のものになり,特に地域の日本語教育では行政によって「共生」が頻繁に謳われるようになりました。この「共生」という考え方が契機となり,「教える‐教えられる」という固定した関係を乗り越え,日本語話者か否かに関わらず,全ての参加者が共にそれぞれの「他者性」によって更新される場にすることができるようにも見えました。

しかし,地域の内実は,たとえ日本語そのものを教える場ではないにしても,マイノリティー(日本語話者ではない人々)側のみへの支援・エンパワーメントに焦点化され,マジョリティー(日本語話者)によって環境がデザインされるという構図は変わっていないように思います。その原因のひとつは,「共生」とは何かという議論が地域の中で未だ成熟せず,理想的な「共生」が語られ,個々の関係としての「共生」が実体にならないという点にもあるようです。

この発表では地域にほんごボランティア教室で行ったボランティア講習会「共生とは何か」を報告しながら,「共生」を阻害しているボランティアの(老後の)「善意」と「関係性」について考察し,使用言語を問わず,全ての参加者が地域の教室の作り手となり,共に学ぶ環境を創っていくことを提案します。これを通してボランティア参加者も生涯学んでいくことができる環境としての「共生」とは何かを議論できればと思っています。

「共生」ということばは,地域に限らず,関係を通した人の成長とことばの教育とを結ぶ概念のひとつではないかと思っています。

第26回
教室実践の批判的(critical)省察(reflection)――教室における「話す」と「読む」を問い直す

  • 日時: 10月24日(金)17:30~19:40
  • 場所: 早稲田大学22号館207教室
プログラム
日本語で「議論する」ための取り組み:国際関係を素材として(An approach toward deliberation in Japanese language culture pedagogy
発題者: 新井久容さん
日本語で「読書する」行為を支える教室:本との相互行為(An approach toward reading in Japanese language culture pedagogy
発題者: 武一美さん

第25回
日本語教育とgiving a voice to the voiceless――日本語教師である「わたし」と難民支援NPOの協働実践から見えてきたもの

  • PDF日時:2014年9月26日(金)17:30~19:40
  • 会場:早稲田大学早稲田キャンパス22号館(8F会議室)[アクセス
  • 参加費:会員(無料※),一般(1,000円)※当日入会可[入会案内
  • チラシをダウンロード
  • お問い合わせ: (言語文化教育研究学会事務局)

※事前申込は不要です。当日直接会場にお越しください。

「難民日本語教育」から立ち上げる市民・権利・社会・協働・共生への議論

発題者:伴野崇生(東京農工大学国際センター)

難民支援協会の石井氏によれば,日本国内の「難民」は実務では,[1]庇護希望者(申請前),[2]難民申請者(裁判中含む),[3]条約難民,[4]人道配慮,[5]Failed Asylum Seeker,[6]インドシナ難民,[7]第三国定住難民に分けて考えるのがよいとされていますが(伴野2013),法的なステータスが定まっていない[1][2],条約難民([3])とは認められなかった[4][5]については,従来の日本語教育ではほとんど考慮されてきませんでした。もちろんこれまでも,地域の日本語教室や難民支援団体・NPOなどが受け皿になってきてはいますが,正面からの議論はされてこなかったのです。特に,[1][2]については,難民認定審査に長ければ8年以上もかかるにも関わらず,言語学習の機会が十分に保障されていないのが現状です。

今回の月例会では,話題提供者がこれまで行ってきた難民支援NPOとの協働実践から見えてきた,「難民日本語教育」(伴野2013)の課題と可能性について議論を行っていきます。また,「難民日本語教育」について議論することによって,難民日本語教育そのものや地域日本語教育,年少者日本語教育だけでなく,多文化共生,社会的統合,移民難民政策,多文化間精神医学,NPO/NGOとの協働といった,今後我々が考えていかなければならない多くの課題につながる重要な示唆が得られることを共有し,フロア全体で議論を行っていきたいと思います。

参考文献
『難民研究ジャーナル』1-3,難民研究フォーラム(2011〜)他(伴野崇生2013「「難民日本語教育」の可能性と課題 ¯難民の権利・尊厳の保障のための日本語学習支援の構想」は3号に掲載)

研究会当日,日本在住の難民によって作成されたアクセサリー及び難民関連書籍の展示を予定しております。難民支援への理解にご協力ください。

第23回:2014年6月27日(金)
「言語教育の未来」細川英雄(言語文化教育研究所,早稲田大学)

講演予定のピエール・マルチネーズ氏(フランス・パリ第8大学)急病のため,講演は取りやめとし,細川英雄が代わって話題提供を務めます。

概要

講演予定のピエール・マルチネーズ氏(フランス・パリ第8大学)急病のため,細川英雄が代わって話題提供を務めることになりました。

タイトルは同じ「言語教育の未来」。4月の「言語文化教育研究とは何か」の続編で,戦後の日本語教育の歴史を振り返りつつ,これからの言語教育のあるべき方向性について考えます。この内容は,7月5日の日本語教育学会研究集会(愛知大学名古屋キャンパス)の講演「今,なぜ活動型日本語教育なのか――ことばの教育の課題と展望」[プログラム]につながるものと考えています。

ピエール・マルチネーズ氏の健康の回復を祈るとともに,後半の討論において会場のみなさまとの活発な議論に期待します。

第21回:2014年4月25日(金)
「言語文化教育研究とは何か」細川英雄(言語文化教育研究所)

  • :チラシ日時:2014年4月25日(金)17:30-19:30
  • 会場:早稲田大学早稲田キャンパス22号館8階会議室
  • チラシをダウンロード

総会開催のお知らせ

例会後半に「総会」を開催します。総会では,今年度の月例研究会でのそれぞれの発表テーマ等を伺い,年間のスケジュールを立てます。スケジュールが決定されると,飛び入りの発表は難しくなりますので,できるだけ,この総会に参加してください。(事務局)