言語文化教育研究学会:Association for Language and Cultural Education

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2024年度 例会

【第97回:7月27日】「Learning by Doing」― ランゲージ・フェスティバルの実践

※本企画は、特別企画「「教える」も「育てる」もない森の民に言語教育とは何かを伝えようとしてみたら大変だった話」(伊藤雄馬さん,2024年8月4日開催)とのコラボ企画です。

話題提供者: 衛藤智子さん,板橋民子さん,吉田真宏さん(立命館アジア太平洋大学)

「多くの学生は、英語圏の国にしか興味がない。だから、彼らは香港がどこにあるのか知らないし、興味がない。彼らの心の中の世界地図にアジアの国は存在していないんです」― これは、ある香港出身の留学生の言葉です。これが「国際」大学を名乗る私たちの現実です。

この現実を変えることはできないかと考えた時、思い出されたのが発表者の留学体験です。当時、学業や英語力への不安からいつもびくびくしていた発表者が、現地のイベントで日本語のレッスンを行いました。そこで、参加者からの多くの質問、コーラスリーディングの大きな声、笑顔に握手にお礼の言葉をもらい、最後には、自分の持つものに価値を感じ、そこに堂々といていいのだと感じられたのです。

この体験を再現し、現実に働きかけようとしているのが、「ランゲージ・フェスティバル(LF)」です。LFは、コミュニティの少数派学生から言語と文化を学ぶ、学生・教職員・市民参加の多文化フェスティバルです。2023年10月に開催された LF3では、ほかの10の言語レッスンとともに、伊藤雄馬先生が少数言語「ムラブリ」を直接法で紹介し、未知の言語との貴重な出会いの機会を提供してくださいました。

約半年をかけ、単位にもお金にもならないLFに取り組んだ学生スタッフたちの声を集めたところ、彼らの中に様々な「経験をとおしての学び(Learning by Doing)」(デューイ,2004/1938)が起こったように見えました。この会では、LF の実践や学生の声を紹介させていただいた後、参加者のみなさまのお知恵を借りながら、今後の LF を通じた学びの可能性について模索する機会が得られればと考えています。

  • デューイ,J.(2004).市村尚久(訳)『経験と教育』講談社学術文庫.(Dewey, J. (1938). Experience and education. Kappa Delta Pi.

【第96回:5月11日】ハイブリッド開催
座談会:どうする?「ちいき」! ― 結婚移住女性のLifeから考える地域日本語教育


話題提供者: 福村 真紀子さん(茨城大学)

日本語が自在に操れなければ「ちいき」(生活を営む場所)にコミットしにくい、だから、「ちいき」の外国人に地域日本語教室で日本語を教える。そのような実践についてどのように考えますか?

本例会では、話題提供者が自身の地域日本語教育の実践を紹介し、日本語を「教える―教えられる」を超え、人的ネットワークの構築をめざす、生活者のLife(生活・人生・命)を支える地域日本語教育について提案します。そして、参加者同士で新しい地域日本語教育の在り方について意見交換をします。

なお、本例会の開催は、『結婚移住女性のエスノグラフィー ― 地域日本語教育の新しい在り方』(福村真紀子,2023,早稲田大学出版部)の刊行に連動しています。

当日の構成
  1. はじめに
  2. 話題提供者による地域日本語教育の実践の紹介
  3. 『結婚移住女性のエスノグラフィー ― 地域日本語教育の新しい在り方』を参照しつつ、「ちいき」の結婚移住女性に関する課題を提示
  4. これからの地域日本語教育の在り方について参加者同士で意見交換
  5. おわりに