言語文化教育研究学会:Association for Language and Cultural Education

第6回年次大会――テーマ:
言語文化教育とクリエイティビティ
2020年3月7~8日,同志社大学

協賛・後援

協賛

  • (有)大谷書店
  • CASIO計算機(株)
  • グットハーモニー協同組合
  • (株)ココ出版
  • (株)スリーエーネットワーク
  • (株)ラーンズ
後援

テーマ趣旨
言語文化教育とクリエイティビティ

私たちは,祖先が作り上げてきたことばや文化を与えられたものとして身につけ,他者と会話し,生活を営む。

その一方で,私たちは,新しいことばや文化を生み出すことが可能である。もし,ことばや文化が私たちを定義するものと考えるならば,私たちが,自分たちの手でことばや文化を新しく生み出すことは,既存のことばや文化の枠組みの中で「自分たちが誰か」を確立するのではなく,自分たちの手で「自分たちが誰か」を決定することに繋がる。その意味で,創造は,人が生きるうえで必要不可欠である。

第6回年次大会では「言語文化教育とクリエイティビティ」をテーマに掲げ,今後,言語文化教育を拡張していくための議論を行う。学習者があらゆる場面でクリエイティビティを発揮できる学習環境とはどういうものかを模索するとともに,クリエイティブ・ラーニング,教師のクリエイティビティ,創造産業・創造都市/農村とことばの教育,Society 5.0の社会における新しいことばの創造など,言語文化教育とクリエイティビティを取り巻くさまざまな問題について検討する。本大会においては,言語教育の実践者・研究者のみならず,教育学,芸術学,経済学,医学,社会福祉学など,他の学術領域に所属する方々の積極的な参加を期待するとともに,言語教育と複数の学術領域を積極的に交差させることによって,その化学反応から,新たな視点や価値の創造に挑戦したい。

(年次大会実行委員会)

プログラム

3月7日(土)
委員企画フォーラム――ワールドカフェ
大会シンポジウム「言語文化教育とクリエイティビティ」
口頭発表
3月8日(日)
フォーラム
パネルセッション
口頭発表,ポスター発表

大会シンポジウム: 
言語文化教育とクリエイティビティ

シンポジスト

佐々木雅幸(同志社大学)
文化経済学,都市経済学
文化産業を核とする都市に着目した創造都市論を展開している。また,文化庁地域文化創生本部総括・政策研究グループ主任研究官や創造都市ネットワーク日本の顧問を務めるなど,理論と実践の両面から,全国の創造都市を推進する政策支援活動を行なっている。[発表要旨
佐藤博志(筑波大学)
教育学,学校経営学
オーストラリアの教育政策を専門とし,日本,オーストラリア,ニュージーランド,イギリスの初等中等教育について比較研究を進めている。また,教育言説の分析から日本におけるゆとり教育批判について再検討を行った。学校改革を進める校長の力量と行動や,国際バカロレアと探究学習についても関心をもつ。[発表要旨
吉田真理子(津田塾大学)
英語教育,ドラマ教育
初等教育での外国語(英語)活動において,ストーリーテリングやドラマ的な活動を取り入れたプロジェクト重視型学習を行うことの効果について研究を行っている。近隣小学校と連携した英語教育セミナーを開催し,外国語活動における声がけやサポートについて,フィールドワークを通じて検討している。[発表要旨
司会
飛田勘文(早稲田大学)
言語的・社会的・文化的差異がある中での芸術によるコミュニティの形成をテーマとする実践と研究を行う。また,英語圏の児童青少年演劇の戯曲の翻訳,障がい児対象の参加型演劇の演出,演劇を導入した日本語・英語教育や異文化間教育などの教材開発に協力。主著:『多文化共生――人が変わる,社会を変える』(共著)ほか。
コーディネーター
佐藤慎司(プリンストン大学),飛田勘文,牲川波都季(関西学院大学),嶋津百代(関西大学)

発表要旨

佐々木雅幸(同志社大学):創造社会の構築にむけて

近年,Society 5.0という言葉がはやり始め,経団連はこれを「創造社会」と呼ぼうとしている。私は20年以上前に「創造都市論」を提唱し,「人々が創造的に働き,暮らし,活動する社会」をめざすことを主張してきた。とりわけ,芸術文化と科学技術の双方の創造性のシナジー効果を発揮する「場」を都市や農村に作り出し,持続させるかをテーマに研究し政策提言してきた。近年の関心は限界集落でのICTを活用したCreative Workと保育園で芸術教育Creative Children政策,ゴールドシアターのような老人劇団に代表されるCreative Aging政策である「技術偏重のSociety 5.0」ではなく「人間の顔をした創造社会」をめざす文化政策の実現が喫緊の課題である。

佐藤博志(筑波大学):クリエイティブな教師――社会の変容と新しい教師の専門性をめぐって

今日の社会は,グローバル化やSociety 5.0がキーワードになっている。それだけではない。共生,公平,人権,平和,サスティナビリティが一層求められている。しかし,私たちの現実社会は矛盾に向き合っている。矛盾を乗り越えるために知恵を出し合う必要があるだろう。発表者に与えられた課題は,シンポジウムのテーマに関わっての教師の専門性であった。発表者は,クリエイティブな教師を「クリエイティブな教師とは,未来への見通し,柔軟性,応答力を持ち,子どもの発達可能性を最大限引き出すために,リソースを集め,新たな着眼点や手法を自分であるいは同僚と構築し,授業,学級経営,学校行事等において,豊かな学びをつくる専門家である。」(拙著『クリエイティブな教師になろう』学文社)と定義した。この定義をふまえて,さらに,クリエイティブな教師の専門性を解明するためには,どのような視点が求められるのだろうか。本発表では,このような問いについて論究するが,時間の範囲内で,国内外の事例についても適宜,紹介したいと思う。

吉田真理子(津田塾大学):小学校からの英語――豊かな創造性を育む教育をめざして

2020年度より,小学校高学年において外国語(英語)が教科となり,中学年に外国語(英語)活動が導入される。教師には,授業をとおして,子どもたちが英語の知識・技能を習得するだけでなく,思考力・判断力・表現力,学びに向かう力,そして豊かな創造性が育まれていくことが期待される。21世紀を生き抜くための「21世紀型能力」としても光が当たる創造力であるが,そもそも創造性とはなにか。そして,わたしたちの創造性を阻むものはなにか,創造性を育む意味はなにかについて,主に第二言語習得理論とドラマ教育の視点からあらためて問いかける。そのうえで,小学校より教師と学習者双方の創造性が育まれる英語教育について考えてみたい。