言語文化教育研究学会:Association for Language and Cultural Education

年次大会

【2016年3月12~13日開催】
言語文化教育研究学会 第2回年次大会(武蔵野美術大学)
テーマ:「多文化共生」と向きあう

開催要領

協賛・後援(順不同)

協賛
  • (株)大修館書店
  • (株)明石書店
  • (株)スリーエーネットワーク
  • (株)ココ出版
  • (株)アルク
  • (株)くろしお出版
  • (株)ラーンズ
  • (株)凡人社
後援

大会テーマ主旨

「多文化共生」と向きあう。私たちは,第2回年次大会のテーマをこのように設定しました。

テーマ設定の背景にある問題意識には,現在の日本・世界において,多様性の排除や異質なものに対する攻撃・排除がいたるところで起きているのではないか,そして,その状況は年々悪くなっているのではないかということがあります。多様性や異質なものに対する無関心・無理解もあります。ことさらに取り沙汰される多様性がある一方で,光が当てられない,語られない多様性があります。現在の日本社会には,多様なルーツ,背景をもつ人々が暮らしています。その多様性は,社会を豊かにするための可能性であると私たちは考えます。しかし,今の社会には多様性をうまく受け止められないために生じる問題も多く存在します。ヘイトスピーチの問題などもその一つだと考えられます。また,目に見える多様性――人種,ジェンダー等――は,多様性を単純化し,その過程でマイノリティを作り出します。

このような社会的状況の中,私たちは,今一度,「文化」とは何か,「多様性」とは何か,そして,多様な文化的背景をもつ私たちが「共に生きる社会」をどのように志向できるのか,そのためにことばの教育は何ができるのかをともに議論したいと考えています。(年次大会実行委員・シンポジウム企画担当:神吉宇一,佐藤慎司,三代純平)

プログラム

1日目: 2016年3月12日(土)
9:00 受付開始
9:30 開会式
10:00 ポスター発表・口頭発表
12:20 総会
13:20 口頭発表・フォーラム
15:30 シンポジウム 1:「多文化共生」に対する私のとりくみ――多様なジャンル,アプローチのセッションから語る「多文化共生」の未来
18:30 懇親会
2日目: 2016年3月13日(日)
9:30  受付開始
10:00 フォーラム
12:00 昼休み
13:00 シンポジウム 2:「多文化共生」と多様性――教育に何ができるのか
15:30 閉会式

シンポジスト紹介

シンポジウム 1
「多文化共生」に対する私のとりくみ――多様なジャンル,アプローチのセッションから語る「多文化共生」の未来
パネリスト
杉山春(すぎやまはる)――ルポライター。児童虐待死事件,日本国内の日系人コミュニティーの子どもたちの姿などを取材してきた。弱い立場の人たちが,砂つぶのようにバラバラになってコミュニティーからこぼれ落ちること。多様人々の中にある「国民」「日本文化」のイメージが,実態に即しているわけではないことに気づく。現在は,日本で暮らすフィリピン人女性達に話を聞く。新たなコミュニティーが生まれ得るのかということに関心がある。『移民環流――南米から帰ってくる日系人たち』『ネグレクト――育児放棄 真奈ちゃんはなぜ死んだか』他
田室寿見子(たむろすみこ)――演劇プロデューサー,演出家。外国人労働者が集住する岐阜県可児市において,演劇を用いて日本人と外国人との交流を促進する「多文化共生プロジェクト」を立ち上げ,「ドキュメンタリー演劇」と呼ばれる手法で好評を博す。5年に渡ってフィールドワーク,企画,演出,製作を担い,外国人参加者の演劇による雇用創出と自立を促進している。2014年より東京芸術劇場の教育普及事業を担当し,芸術による社会的包摂を画策中。
藤田ラウンド幸世(ふじたらうんどさちよ)――研究者・教育者。国際結婚家庭の親として「藤田ラウンド」とダブルネームを使用している。ダブルネームを名乗ることで日本社会の温度を肌で感じ,研究や教育にそれが活かせるように心がけている。現在,研究面では科研研究「多文化共生を再考する」以後,「多言語で生きる人たちの声を聞く」エスノグラフィックな研究を志す。教育面では,異文化コミュニケーションやマルティリンガリズムを軸として,多文化共生を考える取り組みにつなげて学生と議論している。
コーディネーター・司会
神吉宇一(かみよしういち)――研究者・教育者。九州小倉育ち。正規非正規30以上の職を経験し,大学教員に落ち着く。若い頃は,超体育会系マッチョ代表ヘイトスピーカーだったが,20代後半から30代半ばにかけて徐々に転向。「昭和八紘一宇」に一部由来する名前に違和感を持ち,学会発表等で「神吉ういち」を名乗ったこともあるが,単なるごまかしに過ぎないと気づき,1年ほどでもとに戻す。現在,正面突破できない事柄を,どうやって裏側から崩壊さ(腐ら)せるかに興味を持っている。
シンポジウム 2
「多文化共生」と多様性――教育に何ができるのか
パネリスト
宇都宮裕章(うつのみやひろあき)――教育言語学。学生の時から学校現場での日本語教育にかかわってきた縁で,言語教育の問題に取り組み始める。共立女子大学,横浜国立大学を経て,現在は静岡大学学術院教育学領域に所属。2003年にブリティッシュコロンビア大学へ研修留学した際,教育言語学の捉え方に感銘を受け,以降学校教員との協働で理論と実践をつなぐ研究を行っている。主著は『教育言語学論考』『生態学が教育を変える(訳)』『新ことば教育論』など。
南浦涼介(みなみうらりょうすけ)――教育学。滋賀大学教育学部卒業後,タイで日本語教師をし,帰国後小中高等学校の講師(主に社会科,外国人児童生徒の日本語指導)をする。広島大学大学院教育学研究科修了博士(教育学)。現在は山口大学教育学部で小学校全般,および小中高等学校の社会科教育の教員養成をしている。「社会とことば,文化」の視点から,私たちの現状を捉えなおし,新しいものを創りだす教育実践を行おうと鋭意努力中。
山西優二(やまにしゆうじ)――開発教育・国際理解教育。神戸大学経済学部を卒業後,商社に勤務し,退職後アメリカへ留学し,アジア各国を放浪する。帰国後1980年代より,開発教育・人権教育・国際理解教育などの活動に,NGO・地域・大学の立場から参加している。現職は,早稲田大学文学学術院教授,かながわ開発教育センター代表,日本国際理解教育学会理事,逗子市教育委員会教育委員,逗子市社会福祉協議会福祉教育チーム委員など。「平和・公正・共生」の文化づくりに向けた,地域の風土やアートを活かした教育づくり・学びづくりに関心を持っている。
ヤン・ジョンヨン(やん・じょんよん)――韓国・ソウル市出身。1999年に来日。日本語学校で日本語を学び,その後,大学・大学院で言語学・日本語教育を研究する。埼玉大学大学院文化科学研究科日本・アジア研究専攻修了。修士(文化科学)。博士後期課程単位取得退学。2005年より,群馬県内の公立小学校・外国人学校・地域日本語教室・大学などで日本語教育に携わる。現在は,群馬県立女子大学地域日本語教育センターで日本語教員養成・教材開発・生活者としての外国人への日本語学習支援を行っている。
コーディネーター・司会
佐藤慎司(さとうしんじ)――コロンビア大学ティーチャーズカレッジ博士課程修了Ph.D.(教育人類学)ハーバード大学,コロンビア大学日本語講師などを経て,現在プリンストン大学東アジア研究学部日本語プログラムディレクター/主任講師。研究テーマは,ことばの教育における自明の事柄の見直し,それを乗り越える実践の模索など。主要共著書に『文化,ことば,教育』『社会参加をめざす日本語教育』『異文化コミュニケーション再考』などがある。

新企画:委員企画フォーラム(13日(日)10:00~12:00)
「多文化共生社会におけるキャリア形成のありかた」

企画委員: 三代純平,武一美

本フォーラムに登壇する2つの団体は,外国から来て日本で生活する当事者の社会参加やキャリア形成を視野に入れた活動を行っています。まず,現在それぞれが取り組んでいる具体的な活動,そして,取り組みを進めるプロセスで浮かびあがってきた課題について,さまざまな事例をもとに述べます。その後,可視化された課題を乗り越えるために,私たちは何をどのように考え行動していけるのか会場の方たちと意見交換や議論を行い,多文化共生社会におけるキャリア形成のありかたを構想します。

話題提供1: 社会参加の入り口としての地域日本語教室とは――教室リニューアルの試みから見えてきた支援者の役割
藤井美香,野俣恭子(横浜市国際交流協会)
話題提供2: 外国につながる高校生のキャリア形成を阻むものは何か――多文化教育コーディネータ事業を通して見えてきたこと
井草まさ子,武一美,他(多文化共生教育ネットワークかながわ)