言語文化教育研究学会:Association for Language and Cultural Education

月例会

言語文化教育研究学会では,基本的に月に1回,月例会を開催しています。あるテーマをめぐり,提供された話題をもとに議論を行うことで,今後の言語文化教育研究の発展につなげていくことを目的としています。

特別企画:日本語教育討論会
“ To teach, or not to teach, that is the question.”
百済正和さん,古川嘉子さん,今井新悟さん

キーワード:文法積み上げ式,Can-do,学習者中心,Task-Based Language Teaching

  • チラシ日時: 2018年1月21日(日)13:30〜17:00
  • 会場: 早稲田大学早稲田キャンパス 11号館606教室[アクセス
  • プログラム(司会:南浦涼介〈東京学芸大学〉):
    • 第二言語教育とその教員養成においてTBLTというアプローチが示唆すること/百済正和(イギリス・カーディフ大学)
    • 日本語教師の専門性としての学びへの感受性は育成できるのか/古川嘉子(国際交流基金日本語国際センター)
    • 寺子屋式アクティブ・ラーニングへの回帰/今井新悟(筑波大学)
  • 参加方法: 申し込み不要.当日,直接会場にお越しください。
  • お問い合わせ: monthly@alce.jp(月例会委員会事務局)
  • チラシをダウンロード

趣旨

何をどう教えるべきなのか,いわゆる教授法は長きに亘り,栄枯盛衰を繰り返して来た。そしてその変遷は今後も続くだろう。よりより教授法という問いは,終着点のないオープンクエスチョンであろう。そして,それは日本語の教授法という限定された範囲に収まることではなく,「教える」「学ぶ」という営為によって文化・文明を繋いできた,人類の存在方法の根幹にかかわることなのだろう。その中で,「学校,教師,教室,学習者,教科書」という設定を伴う「教育」の在り方について,登壇者らは,今,明らかな変化が訪れていることを肌で感じている。イギリスの大学で,日本の大学で,そして世界によき日本の理解者を増やすことをミッションとする機関で,それぞれが最先端,最善と(多分に勝手に)自認して,教育の最前線に立って実践を重ねている3人が,自己主張と他者批判の先にあるだろう何かを目指して,妥協なき議論に挑戦する。[司会:南浦涼介(東京学芸大学)]

百済:「第二言語教育とその教員養成においてTBLTというアプローチが示唆すること」

第二言語習得研究の影響から文法・文型中心の言語教育アプローチが批判的な評価を受ける中,機能中心の言語教育アプローチが注目され,日本語教育の現場ではCan-doによる記述が使用され始めている現状がある。登壇者(百済)は,どちらのアプローチも言語教育の目的という点では変わりなく,Can-do記述に対する日本語教師の関心がむしろ,日本語教育が何を目指すのかという議論を曖昧にする可能性があると危惧している。本パネルディスカッションでは,まずTBLT(Task-based language teaching, タスク主導の言語教育)がどのような教育的価値を土台に実践されているのかという点を明らかにしながら,そこから示唆される教員養成についても議論したいと考える。

古川:「日本語教師の専門性としての学びへの感受性は育成できるのか」

日本語教師の仕事は,「教える」現場での学ぼうという人の学びを構想し,学びのプロセスをデザインし,教育実践の中で学びをファシリテートしていくことである。学びのプロセスのデザインでは,「何を」という内容と「どうやって」という方法にかかわる選択を行う。内容のデザインは,学ぶ人がどのような背景を持ち,何を求めているかを考慮し,教育実践でどのような項目を扱うかを決める。Graves(1996)は「完全なシラバス表」として,文法,課題,スキル,話題,学習能力,コンピテンシーなどを挙げているが,21世紀の言語教育では,さらにそれが拡張していると考えられる。そして,方法の選択肢も多様である。日本語教師の専門性は,可能性の中から妥当な選択をし,有意味な教育実践を行っていくことにある。そして,その妥当性と有意味性を支えるのが,学びのプロセスに対する教師の感受性だと考える。教師教育においては,そういった専門性の育成をどのように図っていったらよいか検討したい。

今井:「寺子屋式アクティブラーニングへの回帰」

21世紀型スキルの必要性と共鳴するかのように,日本語教育でも文法・文型の知識伝達を主とした教え方が批判されて久しい。文法積み上げ式に対するアンチテーゼが理論,実践,教材のそれぞれのレベルで提案され,徐々に現場に浸透しつつある。しかし,その動きは鈍く,日本語教育の現場で全面的なパラダイムシフトを起こすまでのうねりは感じられない。今日も世界のどこかで日本語教育の世界に足を踏み入れる若き教育者たちの多くは,知識伝達型の呪縛から逃れることができずに,色々な言い訳で己を慰めている。まるでそれが教育のオーソドックスとなっているかのごとくに。しかしながら,知識伝達型教育の歴史は思われているほど長くなく,その基盤も盤石ではない。画一化された知識伝達型マス教育の手法は,少なくとも日本においては明治以降に輸入されたものであり,それ以前は,個を尊重するアクティブラーニングが寺子屋などで行われていた。いまや,画一的教育による学びの非効率性は自明であり,教育のパラダイムシフトは世界中で起こっている。日本語教育においても,個を尊重する,学習者の,学習者による,学習者のための学びを推進すべきときではないか。そのためには,教師は自ら舞台から降り,黒子に徹する勇気を持たなくてはならない。学習者のよりよい学びを阻害しないために。

2017年度月例会のご案内

言語文化教育研究学会では,学会発足以前の研究会時代から現在に至るまで,月例会を定期的に開催してきました[参考:開催記録]。月例会の目的は,あるテーマをめぐり,提供された話題をもとに議論を行うことで,今後の言語文化教育研究の発展につなげていくことです。

これまで毎回の月例会開催にあたり,次の点に留意してきました。

  • 多様な現場からの多様な実践や問題意識に関し,できるだけ多くの方々に話題提供していただく。
  • 話題提供者により設定されたテーマをめぐり,議論を展開する。

月例会は,通常の学会における研究発表会等とは,質的に異なります。研究発表会などでは,基本的に発表者が自身の研究に関し,発表することが重視されています。そのため,質疑応答の時間が設けられていたとしても,発表者から参加者への一方向的な伝達になりがちです。これに対し,月例会においては,提供された話題をもとに,参加者全員で議論することを重視してきました。

以上のような経緯を踏まえ,今後,月例会では,話題提供者と月例会委員間で事前にやりとりすることをとおして,提供される話題や議論の場のデザインを協働的に構築することを重視したいと思います[関連:月例会委員会]。具体的には,主に次の二つの点に関し,話題提供者と月例会委員で事前にやりとりを行います。

  1. どのように説明すれば,自身の実践や問題意識が文脈を共有していない実践者(参加者)に理解してもらえるか。
  2. (説明にもとづき)参加者にどのような問いを投げかけるか。

話題提供者は,月例会委員とのやりとりをとおし,自身の実践や問題意識に関する説明を精緻化するとともに,自身の実践や問題意識を題材に議論する場をデザインします。

話題提供者と月例会委員との協働により,多様な方々から提供される様々な実践や問題意識を題材に開かれた議論が展開される場,それがALCEの月例会です。会員のみなさまの積極的な応募を歓迎します。

例えば,こんなテーマで議論します

ことばと文化の教育に関わるテーマであれば,どのようなテーマでもかまいません。言語教育(日本語教育,外国語教育,国語教育)に留まらず,異文化間教育,生涯教育,芸術教育,演劇教育,教育哲学,教育社会学,教育心理学,教育人類学等,多様なテーマを歓迎します。

例えば,こんな場を創ります

  • 研究途上の自身の研究を捉え直したり,多様で広い視点からコメントを得たりするために話題を提供し,参加者たちと議論します。
  • 自身の実践を他者に開いて振り返ったり,その実践に対して多様で広い視点からコメントを得たりするために,参加者たちと議論します。
  • あるテーマを設定し,話題提供を行い,そのテーマに基づいて参加者同士で「カフェ」的に自由に意見交換をします。
  • あるテーマを設定した上で,講演会のような形で語り手を招き,参加者同士で意見交換をします。
  • ある技術,方法,思考法等に関し,ワークショップのような形の体験の場をつくります。体験を題材として参加者同士で議論します。

参加方法

話題提供者/企画者
  • 話題提供/企画希望者は,開催日程をご参照の上,希望日,お名前,ご所属,およびテーマをmonthly@alce.jp(月例会委員会)までご連絡ください。調整の上,後日,月例会委員よりメールにてご連絡いたします。
  • 話題提供/企画は学会の会員に限定しております。話題提供/企画をご希望の方は事前に入会手続きをお済ませください。また,共同で話題提供を行う場合は,話題提供者のうち,1名以上が会員である必要があります。[関連:入会案内
  • 話題提供/企画は,先着順になります。希望者が多い場合,日程を調整させていただく場合がございます。
  • 話題提供者/企画者には,月例会前に話題提供/企画の要旨,論点等の提出をお願いします。また,月例会後に報告(学会会員向けメールマガジンに掲載)の提出をお願いします。[関連:会員向けメールマガジン
参加者
  • 会員である必要はありません。
  • 参加は無料です。
  • 事前申込は不要です。当日,直接会場にお越しください。

月例会開催日程(2017年度)

2017年
第50回: 4月22日(土)14:00~16:00
第51回: 5月27日(土)14:00~15:45
第52回: 6月23日(金)18:00~19:45
第53回: 7月22日(土)14:00~15:45
第54回: 12月15日(金)18:00~19:45

関連: 各回の開催記録(当日のスライド等)

※そのほかに学会特別企画(講師を招いての講演会,ワークショップ等)の開催を検討中です。詳細は決定し次第,お知らせします。

お問い合わせ

月例会に関するお問い合わせは,monthly@alce.jp(言語文化教育研究学会・月例会委員会)まで。